つみたてNISAとは
つみたてNISAと一般NISAのもっとも大きな違いは以下の3点です。
- つみたてNISAの年間最大投資限度額は40万円(一般NISAは120万円)
- つみたてNISAの非課税期間は20年間(一般NISAは5年間)
- つみたてNISAは特定の投資信託にのみ投資が可能(一般NISAはほぼ全ての株式・投資信託に投資可能)
つみたてNISAの年間最大投資限度額は40万円。これは月換算で約3.3万円になります。毎月の投資額を決め、それを淡々と積み立てていくことになります。
つみたてNISAのメリット
値上がり益や配当金には、本来20%課税されますが、つみたてNISAの場合、これが20年間非課税になるというメリットがあります。
以下のグラフは、金融庁のホームページにある「つみたてNISAの概要」というページからのものです。
たとえば、2018年に40万円を投資したとすると、その後20年間、つまり2029年まで値上がり益と分配金は非課税となります。
そして、20年後の2037年に投資した40万円は、さらに20年後の2057年まで値上がり益・分配金が非課税となります。
ここで一つだけ注意しなければならないことがあります。それは、つみたてNISAを開始する年齢です。
つみたてNISAのデメリット
たとえば、2018年に50歳からつみたてNISAを始めたとしましょう。その場合、50歳のときに投資した40万円は2038年の70歳になるまで非課税かつ保有が可能です。
そして、つみたてNISAが使える最終年である2038年に積み立てた40万円は、さらに20年後の2058年まで非課税を享受できます。
しかし、少し考えてみてください。2018年に50歳の人は2058年には90歳です。
以下は厚生労働省のホームページに掲載されている、「主な年齢の平均余命とその延び」についての表です。
データは平成21年、22年なのでやや古いですが、寿命が劇的に伸びているわけではないので、今もほぼ同等と考えてよいと思います。
このデータによれば、50歳の人の平均余命は約31年。よって、半分の人は81歳まで生きることになります。
つみたてNISAの恩恵を最大限享受できる年齢の90歳まで生きる人の割合はわかりませんが、かなり低いと考えざるを得ません。
つまり、つみたてNISAの場合、開始年齢が遅いとそれほどメリットはなく、むしろ一般NISAで投資するのが得策となります。
従って、つみたてNISAで投資を考えているなら、若ければ若いほどよいということになります。遅くとも30歳代で開始するのがおすすめです。
つみたてNISAで可能な投資先
一般NISAでは株式・投資信託に投資が可能ですが、つみたてNISAの場合、投資先は投資信託または上場投資信託(ETF)に限定されます。
しかし、これは必ずしもデメリットというわけではありません。なぜなら、今の投資信託の中には運営成績の優れたものが多いからです。
また、投資信託は投資のプロといわれる人たちが厳選して作られたものなので、投資初心者が個別株を選ぶよりもはるかにリスクの小さい投資と言えます。
つみたてNISAの投資先になぜアメリカの上場投資信託をすすめるのか?
まずは下のチャートを見てみましょう。
これは、NYダウと日経平均の直近35年間の比較チャートです。見てもわかる通り、NYダウが一本調子で上昇しているのに対し、日経平均は見事に底辺を這いつくばっています。
例えば、35年前(1985年ころ)にNYダウに投資していたら、なんと2000%、つまり20倍に膨れ上がっています。これは、100万円をNYダウ連動型投資信託に投資していたら2000万円になっていたということです。
一方、日経平均は惨憺たる状況です。同じように35年前に投資したとしても、ほぼ同値となっています。
もちろん、日経平均が今後どのように推移していくかはわかりません。しかし、上のチャートを見て日経平均にベットする人はおそらく皆無でしょう。
世界の金融界を牛耳っているのは、アメリカです。どのようにあがいたって、アメリカが儲かるようなシステムになっています。
それについて、日本人としては不満を感じるかもしれません。しかし、現実に逆らうことはできません。そんなことしたら、ほぼ間違いなく身ぐるみはがされてしまいます(市場の餌になるだけです)。
ですから、ここは素直にアメリカに乗るだけです。アメリカが儲かるようにできているなら、それを大いに利用して儲けましょう。
一番やってはいけないことは、我を張って市場に逆らうことです。
ETFを選ぶ際の重要なポイント
アメリカ市場に投資できるETFだけで、164個もあります(楽天証券)。世界の金融界のドンであるアメリカだからと言って、ETFを選ぶ際はより期待値の高いものを選ぶに越したことはありません。
そこで、ETFを選ぶ際の最低限のライン(基準)について解説していきます。
もっとも重要なポイントは以下の4つになります。
- 成長率(リターン)
- 経費率
- 配当利回り(分配金)
- 構成銘柄
つみたてNISAでおすすめの厳選3つの上場投資信託(ETF)
上場投資信託はETFと略して表記されることが多いです。
つみたてNISAでおすすめのETFは以下の3つになります。
- VYMバンガード米国高配当株式ETF
- VOO バンガードS&P500ETF
- VTI バンガード・トータル・ストック・マーケッETF
それでは、それぞれのETFの特徴を解説していきます。
VYMバンガード米国高配当株式ETF
VYMはアメリカ株の中でも、特に高配当株によって構成されているETFです。そのため、配当利回りも2.5%から3%の間で安定しています。
経費率は0.06%と非常に低く抑えられており、投資家にとっては大きなメリットです(ETFを選ぶ際に経費率は非常に重要なポイントです)。
また、主な構成銘柄は金融、ヘルスケア、テクノロジーとなっており、ジョンソンエンドジョンソン、ファイザーなど高配当、高安定企業によって構成されています。
成長率は10年間で14.18%となっており、非常に高い値となっています。
総合的に見て、申し分のないETFです。配当利回りとトータルリターンの両取りを目指すなら『VYMバンガード米国高配当株式ETF』が最有力候補となります。
VOO バンガードS&P500ETF
VOOは文字通り、S&P500連動型のETFになります。ご存じの通り、S&P500は驚異的なパフォーマンスを誇っています。
投資の神様、バフェットが妻への遺言として「S&P500に資金の90%を投資しなさい」と言っているほどです。
セクター別構成銘柄はテクノロジー、金融、ヘルスケアで55%を占めています。特にテクノロジー分野が高い比率を占めており、VOOの高いパフォーマンスの源となっています。
VOOは設定されてから10年未満なので、5年間のパフォーマンスしか表示されていません(10.7%)。
しかし、上のチャートを見る限り、直近10年間で株価は約3倍に膨れ上がっています。この10年間のテクノロジー分野(FANG)の飛躍が大いに反映されています。
経費率も0.03%と驚異的な安さです。投資家にとって非常に良心的な設定となっています。長期でコツコツ投資したいという場合、経費率の安さは大きなメリットと言えるでしょう。
ただ、唯一のデメリットは配当利回りが高くないこと。先述したようにパフォーマンスは高いですが、配当利回りはVYMに比べると低く2%付近で推移しています。
配当金をある程度無視して高いリターンを目指したい投資家には、VOOへの投資は最適解となるでしょう。
VTI バンガード・トータル・ストック・マーケッETF
VTIは米国市場全体に投資ができるETFです。従って、VTIの構成銘柄は何と4000銘柄にも及びます。数あるETFの中でももっとも多い構成銘柄となっています。それだけ、分散投資がしっかりとできており、安定感は抜群です。
セクター別構成銘柄では、テクノロジー、金融、ヘルスケアで約55%を占めています。特にテクノロジー分野ではFANGが上位に組み込まれており、VOO同様に直近のパフォーマンスの高さの牽引役となっています。
直近10年のリターンは14.74%。10年前にVTIに100万円投資していた場合、2019年現在では300万円になっている計算です。
経費率はVOOと同じ0.03%です。また、配当利回りも1.8%(2019年7月現在)となっており、これもVOOとほぼ同値。
ここまでの解説でもわかるように投資リターン、経費率、配当利回り、全てVTIと似たり寄ったりの内容となっています。
唯一の違いは、VOOがS&P500連動型であるのに対し、VTIが全米企業に分散投資している点だけ。
強いて言うならば、VTIの方が構成銘柄が多く分散投資が強化されていることから、リスクは最小限に抑えられています。
そういう観点からVOOではなく、VTIを選ぶというのもありです。
まとめ
以下にVYM、VOO、VTIの成長率、経費率、配当利回り、構成銘柄を比較した表をまとめておきました。投資先選びの参考にしてください。
VYM | VOO | VTI | |
10年成長率(%、リターン) | 14.18 | 10.70(5年) | 14.74 |
経費率(%) | 0.06 | 0.03 | 0.03 |
配当利回り(%、2019年7月現在) | 2.44 | 1.44 | 1.80 |
主要構成銘柄 | 高配当企業 | S&P500 | 全米 |