トレードにおいて損小利大は鉄則です。しかし、特に投資初心者の方にとっては、損小利大のトレードを意識すると、どうしても勝てないという人が多いと思います。私もかつてそうでした。
損小利大のためには、ただやみくもにデモトレードで練習してもなかなかうまくいきません。
本記事では、損小利大のトレードを実現させる方法について具体的に解説していきたいと思います。
まず、損小利大のトレードのために必要なことは、以下の2点だけです。
- リスクリワード比を1:2以上にする
- トレードの勝率は50%以上を目指す
リスクリワード比の計算
リスクは損失、リワードは利益のことです。リスクリワード比は、エントリー前に決めておく必要があります。
つまり、エントリー前にあらかじめ想定されるリスク(損失)とリワード(利益)を決めておきます。
例えば、こういうことです。以下のチャートを見てください。これはドル円の5分足チャートです。
上のチャートには3本のラインが引いてあります。下側2本がサポートラインです。現在のドル円が108.409円。矢印で示したような価格推移を想定してエントリーすることを決めました。
つまり、このまま下落基調が継続し108.380円のサポートラインで上昇に転じるというシナリオです。従って、108.380円まで下落したら機械的に買いポジションを取るだけになります。
しかし、エントリー前に想定通りに動かなかった場合についてもシミュレーションしておきます。
108.380円の下側にあるサポートは108.350円ですので、とりあえずこのラインを下にブレイクアウトしてくるようならロスカット(損失確定)すると決めます。
この場合、損失額の期待値は3pipsから5pips(最低で3pips)になります。もしリスクリワード比を1:2に設定した場合、利確目標価格は3pips~5pips×2=6pips~10pipsとなります。
- チャートを見てサポートラインとレジスタンスラインをひく
- 現在の価格からの価格推移の予測を立てる
- 価格推移予測からエントリーポイントが自動的に決まる
- 想定通りに動かなかった場合のロスカット(損失確定)ポイントを決める
- リスクリワード比から利益確定ポイントが自動的に決まる
このように、トレードではエントリー前には、価格が想定通りに動いた場合と想定通りに動かなかった場合についてシミュレーションしておきます。
もちろん、利益確定ポイントはあくまでも初期設定としておき、利益が伸びていくようならトレーリングストップを利用してとことん利益を伸ばしていくようにします。
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理想的なリスクリワード比
リスクに対してリワードを大きくすればするほど、相対的にリスクは小さくなっていきます。しかし、リスクの許容度が低すぎると、ロスカット(損切り)ばかりになり、いわゆる「損切り貧乏」になってしまいます。
逆にリワードに対してリスクを大きくすればするほど、相対的にリワードは小さくなり、1回のトレードで得られる利益は小さくなります。
ただし、損失の方は大きくなりますので、こちらはいわゆる「コツコツドカン」のパターンになります。せっかく、利益を積み上げても1回のトレードで全てを吹き飛ばしてしまうわけです。これは、損小利大ではなく「損大利小」です。
それでは、リスクリワード比はどれくらいが理想的なのでしょうか?まず、大原則としてリスク<リワードである必要があります。そして、多くのトレーダーが採用しているのが、リスク1に対してリワードは2という比率です。
従って、最初はこの比率でトレードプランを立ててみることをおすすめします。何度も検証を重ねるうちに、自分にとって理想的なリスクリワード比が見つかるはずです。
しかし、リスクリワード比だけでは、損小利大のトレードを実現させることはできません。
トレードの利益は損益率と勝率で決まる
損益率というのは、平均利益を平均損失で割った値です。リスクリワード比と同じではありませんが、似たようなものだと思って良いでしょう。
そして、勝率は勝ちトレード数を総トレード数で割った値になります。
トレードで得られる利益の期待値は、この損益率と勝率で決定されます。それを表にしたのがバルサラの破産確率表です。
例えば、勝率が50%の場合、破産確率を0にするには、損益率が2.8以上なければなりません。
これは、1回のトレードの損失pipsと利益pipsを固定した場合、リスクリワード比が1:2.8ということになります(実際、このリスクリワード比を維持するのはなかなか大変です)。
もう少し、具体的に説明していきましょう。
例えば、損益率を2.0に決めます(リスクリワード比は1:2)。そして、勝率を50%と仮定します。さらに、わかりやすくするために、負けトレードは3pips、勝ちトレードは6pipsとします。この条件で10回のトレードを行った場合、次のようになります。
トレード回数 | 損益 |
1回目 | +6pips |
2回目 | -3pips |
3回目 | -3pips |
4回目 | +6pips |
5回目 | -3pips |
6回目 | +6pips |
7回目 | -3pips |
8回目 | -3pips |
9回目 | +6pips |
10回目 | +6pips |
合計 | +15pips |
従って、損益率が2.0(リスクリワード比が1:2)、勝率が50%の場合、10回のトレードで15pipsの利益を得ることができます。
それでは、損益率(リスクリワード比)を2.0に決めた場合、トレードの勝率はどれくらいが理想的でしょうか。
先ほどのバルサラの破産確率表によると、勝率が30%、40%、50%、60%のときの破産確率は以下のようになります。
勝率 | 破産確率 |
30% | 69.6% |
40% | 16.8% |
50% | 0.9% |
60% | 0% |
勝率30%だと、かなり高い確率で破産(退場)が待っていることになります。40%でも心もとないので、リスクリワード比が1:2の場合、勝率は50%以上は欲しいところです。
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まとめ
損益率(リスクリワード比)と勝率が、損小利大のトレードの重要なポイントです。
そして、理想的な損益率は2.0(リスクリワード比=1:2)、勝率は50%以上です。この数字を維持できていれば、弱肉強食のFX市場で退場せず、利益を積み上げていくことができるでしょう。
損益率は2.0以上、勝率50%以上が目標だ!