iDECO(イデコ)とは個人型確定拠出年金のことです。簡単に説明すると、「私的年金」のことです。
国民年金制度はほぼ破綻していますので、政府が「自分の老後は自分で面倒見なさい」という趣旨から作られた制度です。
国民年金と違うところは、主に以下の3点になります。
- イデコへの加入は任意
- 掛け金は自分で決める
- 税控除を受けられる
それでは、イデコのメリットとデメリットについて解説していきます。まずはメリットから。
iDECO(イデコ)のメリット
イデコの最大のメリットは節税効果です。
- 所得控除を受けられる
- 課税控除を受けられる
- 退職所得控除を受けられる
所得控除を受けられる
イデコのメリットの一つが所得控除を受けられることです。イデコで投資した分は年収から控除されます。
例えば、年収が400万円の会社員が、イデコに年間24万円投資した場合、課税される所得は380万円(400万円―24万円)になります。
自営業者の場合、拠出限度額が月額6.8万円なので年額80万円ほどになり、課税控除の恩恵はさらに大きくなります。
課税控除を受けられる
また、運用益に対しても課税されません。通常、株式などで利益が出た場合、その20%を税金として納める必要があります。しかし、イデコではゼロ課税です。
これは、とても大きなメリットです。しかし、一点だけ注意が必要です。もし、イデコ口座で損失が出ても損益通算ができないことです。
退職所得控除
最後にイデコでは「退職所得控除」を受けることができます(会社員に限る)。退職所得控除額は勤続年数によって変わります。
- 勤続年数が20年以下;退職所得控除=40万円×勤続年数
- 勤続年数が20年以上;退職所得控除=800万円+70万円×(勤続年数―20)
ただし、退職金が多い場合、退職所得控除の限度額を上回ってしまう場合がありますので、その場合は当然ながら退職所得控除は受けられないケースも出てきます。
このように、イデコでは3種類の税制優遇措置の恩恵があります。退職所得控除はケースバイケースですが、所得控除と課税控除は確実に受けることができます。
iDECO(イデコ)のデメリット
- 拠出したお金は60歳まで引き出し不可能
- 手数料が割高になる可能性
- 元本割れのリスクがある
拠出したお金は60歳まで引き出し不可能
イデコに拠出したお金が受け取れるのは、60歳になってからと決められています。ただし、本人が死亡した場合と障害を負った場合は、60歳を待たずに受け取ることができます(死亡の場合は遺族が受け取ることになります)。
従って、急な入用で資金が必要になっても、イデコ口座から資金を引き出すことはできません。さらに、受け取れる年齢は加入期間によっても変わってきます。
60歳から引き出すことができるのは、原則的にイデコの加入期間が10年以上であることが決められています。従って、50代からイデコを開始した人は、特に要注意です。
イデコの加入期間が10年未満の場合、引き出せる年齢は以下のようになります。
イデコ加入期間 | 引き出し可能年齢 |
~2年未満 | 65歳 |
2年以上4年未満 | 64歳 |
4年以上6年未満 | 63歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
8年以上10年未満 | 61歳 |
例えば、55歳からイデコの積み立てを開始した場合、加入期間が4年以上6年未満に該当するので、拠出金が引き出せるのが63歳からになります。
手数料が割高になる可能性
イデコには毎月必ずかかる費用があります。
- 口座管理手数料
- 資産管理手数料
- 運営管理手数料
例えば、楽天証券の場合、口座管理手数料と資産管理手数料を合わせて毎月167円かかります。運営管理手数料はゼロ(無料)となっているので、楽天証券でイデコ口座を開設した場合、毎月のランニングコストは167円となります。
しかし、特に銀行でイデコ口座を開設した場合、運営管理手数料がバカになりません。銀行によってはこれだけで毎月400円近く取るところがありますので注意が必要です。
イデコの積み立ては、月5000円から始めることができます。少額から手軽に投資ができるわけです。
もちろん、最低金額の5000円から積み立てるというのもありなのですが、そうなると積立額に対する手数料(口座維持費)が割高になってしまいます。
例えば、先ほど書いたように楽天証券のイデコ口座維持費は毎月167円かかります。大した額ではないと思うかもしれませんが、これは毎月の積立額の3%強に当たります(毎月5000円を積み立てた場合)。
毎月3%が手数料で天引きされてしまうのは、かなり大きいです。5000円なら大したことありませんが、これを長期に渡って積み立てていくわけですから、トータルではそれなりの額になるでしょう。
また、株式の成長率から常に3%マイナスというのは、非常に大きなデメリットと言わざるを得ません。従って、イデコに投資をするならば、その点も考慮して毎月の積立金額を決めるべきです。
元本割れのリスクがある
イデコの購入対象は主に以下の3つです(もちろん、自分で選択できます)。
- 貯金
- 保険商品
- 投資信託
もし、イデコの拠出金は株式市場(投資信託)に投資した場合、景気動向によっては元本割れのリスクがあります。
1000万円拠出しても、60歳で受け取れるのが500万円なんてことも十分に想定されますので、その点はあらかじめ覚悟の上で積み立てなければなりません。
まとめ
特に注意喚起したいことを箇条書きにしておきます。
- 毎月の拠出金(積立金額)は、ある一定額以上にしないと手数料負けしてしまう
- 銀行のイデコ口座は毎月のランニングコストが、証券会社の数倍になっているので要注意
- 投資信託に拠出する場合、元本割れリスクがあるので商品選びは慎重に(おすすめの投資先はアメリカ)
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