投資家の心理によってチャートの値動きは決まります。言い方を変えれば、投資家の心理状態の総意がチャートとして現れるのです。
よって、投資をする上で投資家の心理を推測することはとても大切です。「そんなの無理」と思うかもしれませんが、ある程度は可能です。
なぜなら、先にも書いたように、「値動きは投資家心理の総意」だからです。
本記事では、トレードにおける投資家心理についてお話したいと思います。とても重要です。
欲と恐怖
相場で勝っている投資家は、多かれ少なかれチャートから投資家心理を読んでいます。
投資家心理でもっとも大切なのが、「欲と恐怖」です。
チャートを眺めるとき、現在のチャートの状態から投資家は恐怖を感じているのか、それとも欲を感じているのかを判断する必要があります。
そのためには、「相場で恐怖を感じた時どのようなアクションを起こすのか?」。また「欲を感じている時はどのようなトレードをするのか?」を常に考える(想定)必要があります。
投資家が陥る心理状況について
もし、あなたがポジションを持っていて、そこそこの利が乗っているとしましょう。
そのような状況の時、あなたの心の中では「この利益を失いたくない」という気持ちが湧き上がってくると思います。これは、とても自然なことであり、大概の投資家は同じ心理状態に陥ります。
すると、以下のようなアクションを起こすでしょう。
- 利が乗った途端、ポジションを利確してしまう
- ストップロスをきつめに置いてしまう
- ポジポジ病にかかってしまう
利が乗った途端ポジション利確
1番目のパターンは、いわゆる「損大利小」となるケースが多い。「コツコツドカン」とも言いますね。
小さい利をコツコツと積み上げた挙句、最後にドカンと大きく損失してしまうパターンです。投資では一番避けなければならないのですが、90%以上の投資家はこれで相場から退場してしまいます。
きつめのストップロス
これも利益を失うことの恐怖から起こるアクションです。
通常、ポジションに利が乗り始めたらトレーリングストップという手法を用いて、利益を最大限大きくしていきます。
トレンドが出ている時には、必ず押し目または戻りがあります(押し目=上昇トレンド、戻り=下落トレンド)。
上昇トレンドであればサポートラインの下、下落トレンドであればレジスタンスラインの上にストップロスを置くのが普通です。
しかし、値動きが押し目や戻りを形成している時というのは、せっかく乗ったポジションの利益が徐々に減っているわけです。
どんどん利益が減っていくのを目の当たりにして耐えられなくなり、「もうこれ以上利益が減るのは我慢できない!」という心理が働き利確してしまうのです。
大抵の場合、そこから切り返すことが多いのですが・・(笑)。
ポジポジ病
ポジポジ病は一種の中毒症状です。酒やタバコ、薬物の中毒と変わりません。
それでは、どうしてポジポジ病になってしまうのでしょうか?
これは、「機会損失の恐怖」が原因です。
例えば、チャートが強烈な勢いで上昇しているとしましょう。
こういう場合のエントリーポイントは、押し目を付けた時ですね。つまり押し目買いです。
しかし、機会損失の恐怖に駆られた投資家は、「このままチャートを眺めていたら、せっかくの利益をみすみす逃してしまう」という心理が働きます。
その結果、「飛び乗る」というアクションを起こします。
これまた不思議なのですが、大抵の場合、そこが天井だったりします(笑)。
ですから、「機会損失の恐怖」が心に芽生えているのを認識したら、一呼吸置き冷静にチャートを眺めてみてください。
おすすめは、「機会損失の恐怖」がある場合、様子見に徹するというルールを自らに課すことです。
欲と恐怖の克服法
トレードの世界で勝ち組となるためには、「欲と恐怖」を克服する必要があります。
そのためには、トレードで何度も反復練習をする他方法はありません。実践練習がポジポジ病の唯一の克服法です。
具体的にお話します。
エントリー前の心の状態を観察
ポジションを取る(エントリー)直前の心の状態を観察してみてください。エントリーの「意図と動機」を分析するのです。
その時、自分の心の中に欲や恐怖がないかよく観察してみるのです。エントリーの時点で欲に支配されていたり、恐怖に満ちている場合、そのトレードは失敗する可能性が高いです。
相場で反復練習
もし、エントリー前の心の状態が、欲や恐怖に支配されていることが確認できたら、そこでのエントリーは取りやめることをおすすめします。
これをマイルールとして徹底させると良いでしょう。
そして、欲にも恐怖にも支配されていない心の状態になった時、淡々とポジションを取っていくようにします。
とは言うものの、最初は難しいと思います。しかし、欲にも恐怖にも支配されていない心理状態は到達可能です。
しかし、そのためには相場で何度も反復訓練しなければなりません。
ですから、最初の内は「エントリー前の心の状態の観察」を心がけるようにしてください。冷静に第三者の目で心を観察するのです。
お金と感情を切り離す
一生懸命働いて得たお金を失うのは誰でも怖いものです。
しかし、トレードでは常勝ということはあり得ません。どんなプロでも必ず負けるトレードがあります。
そして、ロスカット(損失確定)する時は、誰でも心の痛みが伴うものです。
しかし、投資初心者であればそれも致し方ないですが、いつまでもその状態では相場で生き残ることはできません。
「お金と感情」を切り離すことは、至難の業です。
しかし、方法はあります。
マイルールを作り守る
お金とそれに伴って生じる感情を切り離すのは、とても難しいです。
それは、感情を直視するからです。感情を直視すれば、感情的になるのは当たり前です。
感情的=主観的ですから、その状況を客観視できません。
このような状況を回避する唯一の方法が、マイルールの構築です。マイルールを構築し、それを徹底的に守るのです。
それを実際の相場で何度も反復し、習慣化してしまうことが大切です。朝晩の歯磨きのように習慣化することで、感情を排除することが可能です。
お金(利益)の増減に集中するのではなく、マイルールを守ることに集中しましょう。
徹底的に感情を排除して相場に相対することができるようになれば、自然と資産は増えていきます。
もし、あなたが投資初心者なら、まずはマイルールを構築することから始めましょう。デモトレードでもいいですし、今は1000通貨でトレードができるFXの会社もあります。
それらを利用してしっかりとマイルールを作り、それを習慣化するまで身体に覚え込ませていきましょう。
マイルールは自ら検証を重ねながら構築すること
しかし、マイルールは自分自身で構築する必要があります。もちろん、他人のルールを参考にすることはOKですが、それをそのままマイルール化するのはおすすめしません。
その理由は明白です。
なぜなら、他人のルールをそっくりそのまま採用して、トレードで損失を被った時、必ず迷いが生じるからです。
しかし、そのルールを考えた投資家には、たとえ損失が出たとしても迷いが生じることはないでしょう。なぜなら、そこには絶対の自信があるからです。
自らが何度となく反復し、検証し続けた結果たどり着いたマイルールだからです。
無意識を意識化する
相場で成功している投資家たちの中には、これまで説明してきたことを無意識にやっている人もいます。
それはごく一部の天才トレーダーだけです。多くの凡人トレーダーは、それが無意識にできないから凡人なのです。
しかし、無意識でやっていることを意識化することで、凡人トレーダーも非凡な結果を残すことが十分可能です。
「無意識でやっていることを意識化する」というのは、先にも書いたように「エントリーの直前の心の状態を観察する」ことです。
このことを意識的に実行するだけで、トレード成績は大きく改善します。それは、私自身が実際に経験しているからはっきりと断言できます。
ですから、この記事を読んでいる投資家の方で、もしトレードがなかなかうまくいかないと悩んでいるのなら、明日から早速実行してみてください。
マイルールに自信を持つこと
大切なのは自分自身を信じることです。もし、潜在的に自分を信じていなければトレードをするたびに無意識下に自己疑念が蓄積されていきます。
これはメンタルにとても良くありません。もちろん、トレードもうまくいかないでしょう。
そのような状態を解消するためには、マイルールが相場においてうまく機能することに確信を持てるようにならなければなりません。
ひとたび、マイルールに自信を持てるようになれば、無意識下の自己疑念もすぐに消失していきます。
しかし、そこまで行きつくためには時間と経験が必要です。
投資初心者が陥りやすい間違いは、数週間ですぐに相場で利益を出せると勘違いしてしまうこと。
海千山千の猛者たちが利益を奪い合う相場において、ノービスが生き残れるわけがありません。
粘り強く、試行錯誤を繰り返しながら、マイルールを構築していかなければなりません。
まとめ
もっとも大切なのは、感情を排除してトレードを行うことです。
つまり、トレードを客観視することですが、そのための方法の一つが「エントリー直前の感情(欲と怒りの有無)を観察すること」です。
また、マイルールに自信を持ち、それを習慣化してしまうことが、その次にやるべきことでした。
しかし、いきなりプロの投資家たちがひしめき合う相場で実践を積むのではなく、最初はデモトレで感覚を養っていくと良いでしょう。
もし、実際のトレードをするのならば、少額(1000通貨)から始めると良いでしょう。
- 感情を排除してトレードする
- エントリー前の感情を観察する
- マイルールを習慣化する
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