値動きには一定のパターン(チャートパターン)があります。このパターンに気づき、それを活用できるトレーダーは効果的に利益を積み上げることができるようになります。
なぜなら、チャートパターンだけに注目しているトレーダーは、値動きに感情移入しなくなるからです。
パターン通りの値動きになれば利益を極限まで伸ばしていき、思惑の逆方向へ動いたなら淡々とロスカット(損益確定)できるからです。
本記事では、株式やFXにおいて頻発するチャートパターンについて解説してあります。また、チャートパターンの実際の活用法についても解説してあります。
金融市場は常に変化しています。従って、トレード手法も市場の変化に合わせて、常に適応していく必要があります。
本に書かれてあるようなチャートパターンをただ盲目的に暗記する必要はあります。大切なのは、それらのチャートパタンをどのように市場に応用していくかということです。
チャートパターンは4種類しかない
株やFXの値動きのパターンには以下の3つしかありません。
- 上昇トレンド
- 下降トレンド
- レンジ/ボックス相場
もちろん、それぞれのトレンドには強弱やボラティリティなど違いはあります。
株や為替(FX)の値動きは、これら3つのパターンのみで構成されています。
トレンドの間には、通常レンジが入ります。従って、チャートパターンは以下の4通りになります。
- 上昇トレンド⇒レンジ⇒上昇トレンド
- 上昇トレンド⇒レンジ⇒下降トレンド
- 下降トレンド⇒レンジ⇒下降トレンド
- 下降トレンド⇒レンジ⇒上昇トレンド
上記の内、1番と3番が継続パターン、2番と4番が反転パターンになります。
反転パターン
上昇トレンドから下降トレンドに転換(反転パターン)する時、これら2つのトレンドの間はレンジ相場となります。下のチャートはその一例です。
本記事では、このような反転パターンと継続パターンについて解説してあります。
継続パターン
継続パターンでは、トレンドがレンジ相場を経過した後、再び同じトレンドを継続するチャートパターンになります。
下のチャートは、第1次下降トレンドの後、レンジ相場を経て第2次下降トレンドへと変化していくチャートパターンになりまs。
チャートパターンの分解
この後、いくつかのチャートパターンについて解説していきます。
それらのチャートパターンを理解するためには、いくつかの構成要素に分解する必要があります。
チャートパターンを分解できるようになると、より簡単にチャートパターンを見つけることができるようになるからです。
サポート&レジスタンスライン、そしてトレンドライン
確実にチャートパターンを判断するために、最初にやることは水平線(サポートライン&レジスタンスライン)とトレンドラインを引いていきます。
これらのラインが明確なチャートだけにまずはフォーカスしましょう。
従って、ラインが不明確な場合、基本的に無視しても構いません。なぜなら、そのようなラインが不明瞭なチャートは、値動きも方向感がなくトレードに不適なことが多いからです。
下のチャートは上昇トレンド⇒レンジ⇒下降トレンドの反転パターンです。
まずは先ほどお話したラインを引くことから始めます(ラインとは、サポートライン、レジスタンスライン、トレンドラインのこと)
下のチャートは継続パターンです。第1次下降トレンド⇒レンジ⇒第2次下降トレンドとなっているのがわかると思います。
レンジ部分では、サポートラインとレジスタンスラインを明確に引くことができます。
先ほども書いたように、このようなラインが明確なチャートはトレードにとても適しています。従って、我々トレーダーは、このようなチャートパターンを素早く見つける必要があるのです。
下のチャートは下降トレンドの継続パターンです。レンジでは、上側にレジスタンスラインがあり、下側にトレンドラインがあります。
このチャートではトレンドラインを下にブレイクアウトしているので継続パターンとなりましたが、もしレジスタンスラインを上にブレイクアウトしていたら反転パターンになっていました。
トレンド環境を見極める
トレードで成功するためには、トレンド環境を見極める必要があります。
チャートを眺めていると全てがチャンスに見えてきてしまいますが、実際にトレードに適した環境というのはそれほど多くありません。
多くのトレーダーが、強引に(歪曲して)チャートパターンを見つけ出し、トレードを行っています(大抵の場合、それはリスクリワード比の悪いトレードとなる)。
トレードに適した環境にはいくつか条件があります。
まず、トレンドに勢いがあることが大切です。強い上昇トレンド、または下降トレンドが出ている状態です。そのような環境では、トレンドが長期間続いていることが多いです。
次に出来高です。出来高は多ければ多いほどトレードに適した環境と言えます。なぜなら、出来高が多い時はトレンドが長期間継続することが多いからです。
一方、出来高が少ない場合、値動きに方向感が出難く、「値跳び」と言って急激な値動きが発生する場合が多くなります。
また、レンジ相場やボラティリティの高い相場は、トレード環境としては不適です。そのような相場環境でのトレードは避けるようにしましょう。
ボラティリティの低下と出来高の急減
このチャートパターンは、私にとっては鉄板チャートパターンです。
まずはこちらのチャートをご覧ください。
このチャートでは、最初に上昇トレンドとなっています。その後、レンジ(ディセンディングトライアングル)を形成しているのがわかると思います。
レンジの後半部分、破線で囲まれている領域に注目してください。
この領域もレンジとなっているのですが、それ以前の値動きに比べると極度にボラティリティが低下しているのがわかると思います。
このチャートでは出来高が示されていませんが、破線で示された領域では出来高は極度に低下しています。
つまり、破線の領域で起こっていることは以下の2つです。
- ボラティリティの低下
- 出来高の急減
これが示唆していることを解説しましょう。
先にも書いたように、このチャートは元々上昇トレンドでした。つまり、より多くの投資家たちはポジションを買っています。
その後、レンジに突入していますが、レンジ突入直後の投資家らの考えは「しばらくしたらすぐに上昇トレンドが再開するだろう」というものです。
すると、想像以上にレンジが続き、なかなか上昇トレンドが再開しないので、「とりあえず、一旦利確しておき、レンジブレイクで再びロングを仕掛けよう」と考え始めます。
この時点で徐々に出来高が減少し始めます。
レンジの最後で急激にボラティリティが低下(上値の極端な切り下げ)したのは、相場参加者が急減したことを意味します。
このような相場環境では、急激に一方向に値が跳ぶことが多くなります。
今まで買いに強気だった投資家らは、ボラティリティの低下と上値が限定的になってきたことを見て、「レンジ下限を下にブレイクアウトするのではないか」という恐怖心に駆られ一気に利益確定(売り)するのです。
このようなチャートパターンが現れた場合、かなり高い確率でレンジをブレイクアウトします。
基本的には継続パターンも同様です。下のチャートを見てください。
上昇トレンドからレンジを形成した後、下値が切り上がりボラティリティが低下しているのがわかると思います(破線+矢印)。
レンジからさらに小さなボックス相場に移行した後、レジスタンスラインを上にブレイクアウトしています。
ブレイクアウトのタイミングを読む
買い手と売り手の勢いが逆転すると反転パターンとなります。
これは至極当たり前のことなのですが、これをチャート(値動き)から読み取る必要があります。つまり、トレンドを失いつつあるサインを見つけなければなりません。
下のチャートを見てください。
このチャートの左側は強い上昇トレンドとなっています。押し目を付けながら着実に高値を切り上げていってます。
その後、高値を更新することができずレンジ相場へと移行しています。緑色の丸で囲ってある部分は、ダブルトップを形成している様子を示しています。
ダブルトップだけではショートで仕掛ける根拠としては不十分です。しかし、ダブルトップ後にサポートラインを下にブレイクアウトする直前に小さくバウンスしています。
このバウンスを見れば、このタイミングでショートを仕掛けることに分があると気づくことができます。
下のチャートで緑色で囲まれている部分に注目してください。
レジスタンスラインを何度となく試している内に、上昇のエネルギーが徐々に削がれていきます。
この時、買いで攻めていた投資家らは、上昇トレンドの継続性に疑問を抱き始め、ポジションを解消し始めます。
この部分の後半では、高値と安値が共に切り下げているのがわかると思います。買い手よりも売り手が優勢になっていることのサインです。
その後、サポートラインを一気に下にブレイクアウトしていますが、これは買い方のポジション解消(売り)に新たな売り仕掛けが加わることでこのような現象が起こります。
継続パターンでもレンジ相場の値動きからブレイクアウトのサインを拾います。
下のチャートでは、一旦大きく下げていますがすぐに切り返しています(緑色〇)。その後、レジスタンスライン(赤色ライン)で上値を抑えられています。
その後、買い勢力が徐々に戻ってきています。その証拠に下値が大きく斬り上がり、下げが限定的になっているからです(破線)。これは明らかな買い支えのサインです。
その後、レジスタンスラインを上にブレイクアウトして上昇トレンドが再開しています。
プライスアクション
投資家心理の一つに「機会損失の恐怖」があります。
これは、強い上昇トレンドが発生している時などに、投資家が乗り遅れることで「利益を得る機会をなくしてしまうのではないか」と感じることです。
しかし、実際はブレイクアウトを確認した後からポジションを取ることの方が、確実に成功する可能性が高いです。
もちろん、予想よりもブレイクアウトが早く来てしまい、機会を損失することもあります。しかし、逆に「だまし」を回避することにもなります。
ローソク足の本体がラインを抜ける手前、半分抜けている状態でのエントリーは禁物です。
下のチャートでのブレイクアウトのポイントはとても明確です。
矢印で示してあるローソク足は、サポートラインを完全に下にブレイクアウトしているのがわかると思います。
このローソク足の上髭の部分でショートを仕掛けるのが、もっとも理想的なエントリーポイントになります。
コンティニュエーションパターンのトリガーポイントも非常に分かりやすく、明確になっています。アウトラインレベルを下抜けた強いモメンタムローソク足がブレイクアウトのトリガーとなり、下降トレンドが継続しています。
下のチャートは、継続パターンのブレイクアウトです。
サポートラインを割り込む1本の大陰線があります。このローソク足はサポートラインに本体がかかっていますので、ショートは仕掛けません。
その2本後のローソク足を見てください。上髭の部分がラインを試し、すぐに上値を抑えられて下落しているのがわかると思います。
もっとも理想的なエントリータイミングは、このローソク足の上髭の部分になります。
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