景気後退とは、GDPが減少している期間を指し、一般的には2四半期以上連続して減少が続くと定義されている。
不況は経済成長率の低下だけではない。景気後退は経済成長率の低下だけでなく、雇用の減少、政府による救済措置(景気刺激策や失業手当の増額など)を伴うことが多い。
このようなことを考えると、不況に陥ったとき、あるいは不況に向かいつつあるときに、投資をするのは良い考えなのかどうか、と疑問に思うかもしれない。儲けたお金はすべて現金で持っている方が賢明なのだろうか?
不況時に投資するのは安全か?
不況時には、株価が下落することがよくある。理論的には、それは既存のポートフォリオにとって悪いニュースだが、投資を放置することは、売却によって不況に関連する損失を固定化しないことを意味する。
しかも、株価の下落は(相対的に)割安な投資のチャンスでもある。このように、不況時の投資は良いアイデアだが、以下のような場合に限られる。
緊急時の貯蓄が十分にあること。常に3ヶ月から6ヶ月分の生活費をまかなえるだけの資金を銀行に預けておくことを目標とすべきだが、その中でも後半がより理想的である。
もし、そこに自由に使える余剰資金があれば、自由に投資することができる。そうでない場合は、まずしっかりとした緊急資金を作るようにしよう。
不況時の投資は、気の弱い人には向かない。安値で買ったつもりが、数日後にポートフォリオの価値が下がっているのを見ることになるかもしれない。
不況時の損失を回避し、利益を得るための最善の方法は、長期的な投資アプローチを取ることである。少なくとも7年間は資金を放置するつもりでいよう。
ポートフォリオを執拗にチェックする必要もない。景気が悪く、株式市場の動きが激しいときは、毎日証券会社の口座にログインして、自分のポートフォリオがどうなっているか確認したくなるかもしれない。
しかし、投資先をチェックすればするほど、パニックに陥る可能性が高くなる。そして、パニックになると、業績の悪い株を手放すなど軽率な判断をし、損失を確定せざるを得なくなる危険性がある。
不況時に投資するのは良いアイデアだが、それは投資できるほど経済的に余裕がある場合であり、正しい姿勢とアプローチがある場合に限る。
長期的な利益を得るために、目先の経済的な安定を損なってはいけない。経済的に苦しくても、チャンスを逃すことは恥ではない。
不況下での投資の現実的な結果
不況時に資金を投入した長期投資家は、長期にわたってかなり良い結果を出している。
2007年から2009年の大不況、2001年のドットコム・ショックと9.11テロによる不況、1980年代の長期景気拡大後の1990-91年の不況など、COVID-19が流行する前の最近の3回のデータを見ると、投資家のタイミングが完璧ではなかったとしても、長期的には驚くような結果を出している。
不況の最中、市場が最も低い時に投資すれば、長期的にはかなり良い結果が得られる可能性がある。
しかし、投資家が認識すべきことは、市場のタイミングを計ろうとすることは、ほとんどの場合、負け戦であるということだ。
相場がいつ底を打つかを教えてくれる水晶玉はないのだ。つまり、絶対に完璧なタイミングで投資することはできないのである。
金融危機が始まる前の2007年という最悪のタイミングでS&P500のインデックスファンドに投資していたとしても、それからの13年間で年率8.4%のリターンを達成できたはずである。
1990-91年の不況前の高値で買っていれば、それ以来30年近く年率9.8%のリターンを達成していたことになる。
これが何を意味するか考えてみて欲しい。
もしあなたが、1990-91年の不況という最悪の時期に、標準的なS&P500インデックスファンドに1万ドル投資していたとしたら、途中で配当を再投資したと仮定して、その投資額は今日15万ドル以上に膨らんでいたことになるのだ。
不況時に投資すべきもの
前節で、インデックスファンドについて触れたが、不況であろうとなかろうと、インデックスファンドは素晴らしい投資方法である。
インデックスファンド、特にS&P500インデックスファンドを購入することは、米国企業の長期的な成功に賭けていることになる。長期的に見れば、これはかなり堅実な賭けだ。
しかし、これを読んでいる多くの人が、個別の株式に投資することを希望しているのだろう。
どんな環境でも、良いビジネスを見つけ、それが良いビジネスであり続ける限り持ち続けることが最良の投資戦略だが、この「質」へのこだわりは、不況時には特に重要である。
例えば、COVID-19の大流行とその後の不況の際には、影響を受けた業界の中で、危機の前にバランスシートがしっかりしていた企業が、そうでない企業に比べて有利に働いたと言われている。
一方、事業内容は良いが流動性が低い企業は、最も打撃を受けた銘柄の一つであり、中には生き残れなかった企業もある。
2008年から2009年にかけての金融危機の際に市場に参加した人ならわかるように、不況時には株価がかなり乱高下する傾向があるからだ。
市場にタイミングを合わせようとするのではなく、少しずつ投資すること。
「ドルコスト平均法」と呼ばれるこの戦略は、一度にすべてを購入するのではなく、一定期間ごとに同額を投資することを指す。
こうすることで、価格が下がり続ければ、それを利用してさらに購入することができるのだ。
また、価格が上昇し始めたら、安いときに多くの株を買い、お気に入りの銘柄が高くなり始めたら、少ない株を買うことになる。
参考リンク
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