新高値ブレイク投資術
この投資術は書名の通り、新高値ブレイクアウト後の押し目をエントリーしていく手法について書かれてあります。
著者は「株は新高値で買え」と主張しています。この手法を用い、著者は2016年の3か月間で1億円の利益を株式で叩きだしています。
基本的にはオニールやミネルヴィニの手法(新高値で買い、さらに高値で売る)を日本株に当てはめて解説してあります。
非常にシンプルなトレード法なので、理解するだけなら初心者にとってもわかりやすいでしょう。しかし、実践でうまくいくかどうかはまた別の話です。
この手法でトレードする際に注意しなければならないことは、事前に投資対象の企業分析を行い将来的に成長が望める企業かどうかを見極める必要があります。
つまり、成長株であるかどうかを判断するのが最初にやるべきこと(ファンダメンタルズ分析)。投資初心者にとって、これが難関となるでしょう。
しかし、著者はファンダメンタルズ分析のポイントについては、わかりやすく解説してあります。例えば、「投資家が企業の利益について考えるべきこと」については、以下のポイントを吟味することが大切だとしています。
- 利益はどれだけあるのか(収益性)
- それはいつまで続くのか(持続性)
- それはどれほど確かなのか(確実性)
また、当然ながらテクニカル(チャート)分析も必要になります。この本には、「保ちあい状態から、出来高を伴って新高値を上方にブレイクしてきた株が、テクニカル的に有望」と書かれてあります。
チャート分析の具体的ポイントについても詳細に説明されています。著者によると、「高値ブレイク後に株価が急騰するチャートのポイント」には以下の3つの特徴があるとしています。
- 保ちあい期間が長い
- 保ちあいの値幅が狭い
- カップ&ハンドルを形成
全般的にはファンダメンタルズ分析とテクニカル分析について、詳細に解説されてあり、投資初心者が基本的なことを学ぶには最適な良書と言えます。
ただし、先述したように、この投資法で利益を上げていくには、実践でのトレーニングが必須であり、このやり方をそのまま真似してもロスカットの山が積み上がっていくだけです。
この本を読み終えたら(または読みながら)、デモトレで実践練習を積み上げ、投資スキルを身に着けていくのがおすすめの勉強法になります。
オニールの成長株発掘法
オニールのこだわりは「大化け銘柄」の発掘です。従って、この本の投資対象は、まだ市場に注目されていない、株価も安い銘柄が投資対象になります。中長期の投資手法を探している人にはもってこいの書籍です。
「大化け銘柄」の発掘のために、オニールが提唱しているポイントは、CAMSLIMという言葉に集約されています。
CAMSLIMというのは、それぞれの頭文字をつなげた造語です。
Current quarterly earnings=当期四半期のEPSと売上
Annual earnings increases=年間の収益増加
Newer companies=新興企業、新製品、縁経営陣、正しいベースを抜けて新高値
Supply and demand=株式の需要と供給(重要ポイントで株式受容が高いこと)
Leader or laggard=主導銘柄か停滞銘柄か
Institutional sponsorship=機関投資家による保有
Market direction=株式市場の動向
オニールは、CAMSLIMを基に銘柄分析を行うことで、「大化け銘柄」を発掘することができると主張しています。
また、この本にはテクニカル分析のポイントも詳細に解説されています。全て、著者の実績に基づく解説なので非常に説得力があります。
例えば、「取っ手付きカップ」の説明では、以下のように微に入り細を穿ってポイントがまとめられています。
- 7週間~65週間かけて形成される。
- 取っ手の付け根から先端までの調整幅は12%~33%。
- カップの底はV時ではなくU字の方が良い。
- カップの底で2,3回小幅に下落し、自然な調整を行う。
- U字部分で投機家の関心を背けている。
- 市場低迷時に最も下落の少なかったベースパターン銘柄が最も良い選択となる。
- 平均株価の5倍以上の下落を見せた銘柄は要警戒。
- 40~50%以上の調整が入るようなパターンは上昇を開始しても失敗する確率が高い。
- 大きく下落した後に高値を更新した銘柄はブレイクアウトの5~15%で反落する傾向。
- カップの底から一直線に高値を更新するような銘柄は押しを経てないのでさらに危険。
取っ手付きカップ以外にも、取っ手なしカップ、ダブルボトム、トリプルボトム、ヘッドアンドショルダー(三尊型)、取っ手付きソーサ、平底型、ベース型などについて、それらの特徴からエントリーポイントについて丁寧に解説されています。
また、出来高と株価の関係性についてや、企業分析において重視すべき指標(売上、収益率、ROEなど)についても言及されており、投資初心者がトレードについて学ぶべきことが満載です。
とても分厚い本なので、最初は圧倒されるかもしれません(笑)。しかし、投資初心者にとって必要なことが網羅されているので、これから投資を始めようという方には最適な本です。ぜひ、がんばって読破してください!
相場師養成講座
これもオニールによる著作です。「オニールの成長株発掘法」でも紹介されているCAMSLIMによる株価選定について、ここでも解説されています。
また、投資初心者にとってファンダメンタルズ分析ほど難しいものはありません。しかし、オニールはこの書籍において、彼の半世紀に及ぶ知識と経験を惜しげもなく紹介しています。
つまり、投資初心者がこの本を読むことで、膨大な時間を節約することができます。
例えば、CAMSLIM以外による株選別基準について、オニールは以下の項目を列強しています。
- EPS>25%
- 四半期の売上>25%または直近3四半期で加速
- 過去3年間の年間利益率>25%
- 直近四半期の税引き後利益が最高水準
- ROE(資本利益率)>15%~17%
- レラティブストレングス>90
- IBD紙の上位10~20位
- ファンドによる保有が増加していること
- 自社株買い>5~10%
- 実態が理解できている企業
また、「有名雑誌にCEOの写真が出たら売り」とか「業界で最大手になりたいというそぶりを見せ始めたら売り」など、オニール独自の考え方も紹介されており、読んでいて飽きさせない内容となっています。
「オニールの成長株発掘法」と併せて読めば、より理解が深まること請け合いです。
株の絶対法則
著者の林則行氏は、元ファンドマネージャー。「株の公式」の著者としても有名です。
こちらの書籍は、図解による説明が多く、投資初心者にとってわかりやすいように書かれてあります。
著者の投資スタイルはオニールと同様、成長株投資です。よって、中長期投資の手法を学ぶには最適な書と言えます。
オニールの書籍はあくまでも米国株投資を前提に書かれてありますが、こちらは日本株投資を前提にしているため、より実情に見合った解説が成されています。そういう意味では、オニールの書籍よりも読みやすいかもしれません。
著者の投資手法も、大きく分けてテクニカル分析とファンダメンタルズ分析が基になっています。
テクニカル分析では、「新高値」と「保ち合いの有無」を強調しています。新高値とボラティリティの関係、また新高値と出来高との関係について、どのような投資判断を下すべきかわかりやすく書かれてあります。
ファンダメンタルズ分析では、「ビッグチェンジ」と「過去2~3四半期の業績」に注目すべきと著者は主張しています。
ビッグチェンジとは、その企業が大きく成長するような変革のことです。ビッグチェンジがあれば、必ず投資家に説明するので、その企業のIR情報に目を通すようにすることをすすめています。
また、「過去2~3四半期の成績」については、『売上が10%以上であること』、『経常利益が20%以上であること』というように、具体的に書かれてあるため、投資初心者にとってはわかりやすいと思います。
ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること
著者の苦瓜達郎氏は、大和総研を経て、2003年より中小型株ファンドの運用に携わっていたファンドマネージャーです。
年間900回以上に及び、上場企業のIR担当者と面談を行っています。その経験から、将来的に大化けする株の選定法について解説しています。
著者は「人がやらないことをやらなければ株で儲けることはできない」と主張しています。つまり、逆張りの発想です。
しかし、この本を読み進めていくと、その投資法は極めて保守的で手堅いものであることがわかります。最初から最後まで理詰めの説明となっており、株式市場で起こっていることを理解するにはもってこいの書籍です。
この本では、割安株をみつけ積極的に投資していく方法が示されています。いわゆる「バリュー投資」というものです。
そのためには、投資対象の企業業績についてしっかりとしたリサーチが必要です。そのためのノウハウもこの本で知ることができます。
特に印象に残ったのは、以下の文言です。
「投資対象はジャンクでも何でも構わない、ということ。投資対象の実態に関係なく、ともかく儲かれば何でもよいという下品な真理、実はこれが投資の王道だ」
日本人の中には、金儲けに対して嫌悪感を持っている人も多いですが、そのようなメンタルでは弱肉強食の株式市場では餌食にされてしまいます。
どんなやり方でもよいので、純粋に利益を追求するというスタンスが、個人投資家が株の世界で生きるには大切であるということです。
この本は、純粋に投資について書かれてあり、チャートのテクニカル分析等の手法については書かれてありません。あくまでも、優良企業とダメ企業の鑑別法について、著者の体験を踏まえたポイントが書かれてあります。