FXのトレード手法には主に3種類あります。ポジションの保有期間によって、スキャルピング、デイトレード、スイングトレードの3種類の手法です。
この中でスキャルピングは、ポジションの保有期間がもっとも短く、数秒から数分で売買を繰り返す手法になります。
一方、デイトレードは数時間から1日(ポジションを翌日に持ち越さない)、スイングトレードですと数週間から数か月に及びます。
それぞれのトレード手法の詳細は別記事にて書いているので、そちらを参照していただければと思います。
本記事では、スキャルピングによるトレードのメリットとデメリットについて解説していきます。それでは、まずはスキャルピングについて簡単に説明していきます。
スキャルピングとは?
スキャルピングの英語表記は”Scalping”です。Scalpingは”Scalp”から派生した言葉です(”ing”が付いた形)。Scalpとは『頭皮』のこと。そして、スキャルピング(Scalping)は『頭皮を薄くはぐ』という意味です。
これが、FXや株のトレードで「数秒から数分の超短期で売買を繰り返すトレードの手法」という意味で使われるようになりました。
スキャルピングのメリット
スキャルピングのメリットには、いくつかあります。
- 小資金で始められる
- ファンダメンタルズの影響を受けにくい
- 短時間で大きな利益を得ることができる
- トレードチャンスがたくさんある
小資金で始められる
スキャルピングの場合、1回のトレードで狙う利幅は5pipsから10pips程度です。リスクリワード比を1:2とした場合、1回のトレードでの損失額の期待値は、リワードの半分、つまり2.5pipsから5pipsとなります。
例えば、1万通貨のトレードにおいて5pipsのロスカット(損失確定)を行ったとします。そのときの損失額は500円になります。
ちなみに、ドル円で1万通貨のトレードを行うには、必要証拠金(FX口座に入金しておく金額)は約4万円です。
このように、スキャルピングでは1回のトレード当たりの損失額が小さく、必要証拠金も少額なので、比較的小資金からトレードを始めることができます。
ファンダメンタルズの影響を受けにくい
スキャルピング手法では、ポジションの保有期間が数秒から長くても数分です。従って、この期間に市場のセンチメントがガラッと変わる可能性は低いです(もちろん、可能性ゼロではありません)。
従って、スキャルピングの場合、テクニカル分析を頼りにトレードを行います。ファンダメンタルズという不確定要素が排除される分、気が楽(?)になります(実際はそう簡単な話ではありません)。
短時間で大きな利益を得ることができる
これは、スキャルピングの最大のメリットかもしれません。先にも書いたように、スキャルピングは数秒から数分で1回のトレードが終わります。
例えば、10万通貨でトレード(ドル円)したとします。そこで、平均5pipsの利益を得たならば、5万円の利益になります。数秒から数分で5万円の利益を得ることができるわけです。100万通貨なら一瞬で50万円の利益です。
トレードチャンスがたくさんある
スキャルピングでは、1分足や5分足などの超短期足チャートを使ってトレードを行います。従って、エントリーチャンスがたくさん現れます。トレーダーによっては、1日100回、200回の売買を繰り返しています。
一方、スイングトレードでは、日足や週足などの長期足チャートを使うために、エントリーチャンスは極端に少なくなります。従って、スイングトレードのエントリーチャンスは月に数回、数か月に1回ということもあります。
スキャルピングのデメリット
残念ながらスキャルピングには、メリットだけでなくデメリットもあります。
- 短時間で大きな損失を被ることがある
- ポジポジ病にかかりやすい
- 売買コストが膨大になる
短時間で大きな損失を被ることがある
メリットのセクションで書いたように、スキャルピングでは短時間に大きな利益を得ることができますが、それは裏を返せば短時間で大きな損失を被る可能性もあるということです。つまり、ハイリスクハイリターンということ。
従って、スキャルピングでは徹底した資金管理が非常に大切になります。自分の許容範囲を超える損失が出たら、淡々とロスカットしていかなければなりません。多くのトレーダーが、この「機械的なロスカット」ができずに退場していきます。
ロスカットするべきタイミングで『もう少し経てば値が戻ってくるかもしれない』という淡い期待を抱いたら、危険サインです。得てして、大きな損失を抱えてやむなくロスカットという最終結末が待っています。
ポジポジ病にかかりやすい
まず「ポジポジ病」ですが、これは「ポジションを持っていないと、気持ちが落ち着かない」という病気です。
やや冗談っぽく病気と書きましたが、ポジポジ病は一種の中毒症状のようなものです。つまり、ポジション中毒です。脳みそが、常にポジションを欲している状態です。
こうなると、トレードのことが頭から離れず、他のことが集中できなくなります。専業トレーダーならそれでも良いのかもしれませんが(いや、良くない!)、兼業の場合、本業の仕事のパフォーマンスが落ちてしまいます。これでは本末転倒です。
先にも書きましたが、スキャルピングではエントリーチャンスがたくさんあります。従って、一日に何度もトレードを繰り返します。それが高じて、ポジポジ病を発症してしまうトレーダーが多いです。気を付けましょう。
ちなみに、ポジポジ病を発症している場合、冷静な判断力が低下しているため、トレードのパフォーマンスは圧倒的に落ちます。
売買コストが膨大になる
FXトレードの売買コストは、スプレッドで決まります。スプレッドとは買値と売値の差です。
例えば、ドル円の場合、多くのFX会社のスプレッドは0.3を採用しています。これは、どういうことかと言うと、ポジションを取った時点(「買い」でも「売り」でも)で0.3pipsのマイナスになっているということです。
もし、1万通貨のポジションを取った場合、エントリー時点で-30円になります。これが、売買コストになります。
従って、1日に1万通貨のトレードを50回した場合、30円×50回=1,500円の売買コストになります。
このように、スキャルピングでは数秒から数分で売買を何度も繰り返すため、売買コストが膨大になります。
まとめ
スキャルピングのメリットの一つに「短時間で大きな利益を得ることができる」というのがありますが、それはデメリットの「短時間で大きな損失を被ることがある」ことの裏返しです。
また、トレードチャンスがたくさんあるが故に、「ポジポジ病にかかりやすい」のであり、さらに「売買コストが膨大になる」のです。
世の中、何でもそうですが、メリットがあれば必ずデメリットがあります。だからと言って、アクションを起こさなければ何も始まりません。
大切なのは、できる限りデメリットを抑えながら、いかにしてメリットを最大限活用するかということです。
スキャルピングのメリット | スキャルピングのデメリット |
1. 小資金で始められる
2. ファンダメンタルズの影響を受けにくい 3. 短時間で大きな利益を得ることができる 4. トレードチャンスがたくさんある |
1. 短時間で大きな損失を被ることがある
2. ポジポジ病にかかりやすい 3. 売買コストが膨大になる
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