トレードでもっとも大切なことは、「利益をいかに積み上げていくか」ということではなく、「損失をいかに防いでいくか」ということです。
そして、損失を防ぐ(または極力小さくする)ためには、リスクマネジメントを徹底する必要があります。
投資に関わるリスクには以下のようなものがあります。
- ファンダメンタルズ(政治的、地政学的リスクなど)
- ポジションサイズ
- 企業の倒産リスク
- 金融リスク(企業の資金繰り問題)
- インフレリスク
- 金融政策
相場の世界から退場しないためには、リスクマネジメントはトッププライオリティです。本記事ではリスクマネジメントについて簡潔に解説してあります。
リスクの特定
最初にやるべきことは、これから起こり得るリスクをリストアップすることです。市場の潜在的なリスクをあらかじめ予測しておくことで、そのリスクに対してヘッジを取ることができます。
多くの投資家は利益(リワード)の方に意識が集中してしまっており、リスクに対して無防備です。
具体的には以下のようなリスクが考えられます。
- 価格変動
- 減配
- 為替
- 途中償還
- クレジットのデフォルト
リスクの頻度と大きさを理解
リスクのリストアップをした後は、起こり得るリスクの頻度とその大きさを把握することです。
米国の企業であれば4半期ごとに業績を報告しなければなりません。また政府は定期的に経済報告書を作り発表する必要があります。中央銀行(FRB)は金利の決定を行います。さらに、10年に1回程度の弱気相場があります。
これらのリスクイベントを常に念頭に置き、トレード計画を立てておく必要があります。
リスクが高いと判断したら、ポジションを手仕舞ったり、サイズを落とす必要があります。また、ポジションを持ったままリスクイベントに臨むのであれば、ストップロスを確実に設定しておくことが大切です。
また、ノーポジであるならば様子見することもリスク回避になります。
また、市場のセンチメントが悪くファンダメンタルズがネガティブに偏っている場合、ポジションを手仕舞いする必要があります。
リスクの分散
一つのポジションだけで口座をリスクにさらさないようにしましょう。
特に株式投資ではリスク分散は非常に大切なことです。一つの企業にだけ投資するというのは論外ですが、セクター(業種)の分散を行っていても相関性の強い業種でならば、リスク分散をしていることにはなりません。
株式投資のリスクには以下の4つがあります。
- 株価下落リスク
- 倒産リスク
- 流動性リスク
- 減配リスク
株価下落リスク
ご存知のように、株には元本保証はありません。預貯金とは決定的な違いです。
従って、買値よりも株価が下落することはある程度許容しなければなりません。しかし、どの程度許容するか(許容範囲)は個々の投資家によって変わります。
あらかじめ、損失をどこまで許容するかを決めておく必要があります。
倒産リスク
株式投資には、投資した企業が倒産してしまうリスクがあります。倒産した場合は株券はただの紙切れとなりますので、投資額が大きければ大きな損失を被ることになります。ある意味、値下がりリスクの究極版と言えるかもしれません。
従って、一つの会社に大きく依存するのは、とても危険です。
現物取引であれば投資額がゼロになるだけですが、信用取引などでトレードをしていた場合はそれ以上のダメージとなります。
流動性リスク
流動性リスクというのは、ポジションが売れなくなるリスクです。
これは、投資している企業が上場廃止となる場合に発生します。
まさにパニック売りの連日ストップ安となるため、売りたくても売れないという状態です。
減配リスク
高配当株を中心に株投資している投資家がもっとも恐れているのが、減配や無配リスクです。
高配当の企業が減配したり、無配に転換した場合、投資家らの失望売りが殺到するため、株価下落リスクにも晒されることになります。