現在の市場は経済指標はほぼ無視状態。コロナウイルスの感染者数と死者数にのみで株価が上下する異様な状態になっています。
過去にはSARSやMERSなど、人類は幾度となく感染症の脅威にさらされて来ています。
しかし、いずれの感染症に対しても乗り越えてきました。楽観はできませんが、今回のコロナ禍もいつかは収束するはずです。
本記事では1918年に発生したスペイン風邪で起こったことを振り返り、今後のコロナ禍の行く末について解説していきます。
コロナ感染者数のピークアウトで狂ったように株が上昇しているけど、今の市場が織り込んでいないのは「コロナの第二波」。ちなみに、スペイン風邪では第二波の方が重症化するケースが多かったのもお忘れなく。
【スペイン風邪】
・第一波(1918年3月)
・第二波(1918年秋)
・第三波(1919年春)— Goemon (@Goemon_ryugi) April 10, 2020
スペイン風邪は第三波まであった
スペイン風邪は1918年3月にアメリカ北西部の米軍基地で発生しました。
当時は第1次世界大戦の最中。欧州に派遣された米軍によりウイルスが拡散されていきます。
従って、発生源はアメリカ本土であってスペインではありません。スペイン王族の感染が当時とても衝撃的だったためにスペイン風邪と呼ばれるようになりました。
第二波は同じ年の秋に発生します。ちょうど第一波が収束しかけた頃合いを見計らうようにして感染爆発が起こりました。
第二波では欧米に加えてアジア大陸を巻き込んで乾癬が拡大。日本でも多くの人が感染し亡くなっています。
症状は第一波よりも重症化するケースが増えています。
通常の肺炎では免疫力の低下した高齢者やまだ免疫力が十分に獲得されていない子供において重症化するケースが多いのですが、スペイン風邪の第二波では20代から30代の若年層の死亡率が高かったのも特徴的な現象です。ちなみにボストンでは一日におよそ100名の死者が出ています。
第三波は翌年1919年の春に発生しました。この頃になるとウイルス
第2波は同年秋、世界的に同時発生してさらに重い症状を伴うものになりました。第3波は1919年春に起こり、同年秋に終息に向かいました。
第二波;1918年秋にかけて欧州、北アメリカ、アジアの三大陸で感染爆発
第三波;1919年春から同年秋にかけて収束
スペイン風邪の感染者数・死亡者数
1918年当時の世界人口は18.6億人でしたが、スペイン風邪の流行により世界人口のおよそ50%が感染しています。そして感染者の25%が発症しています。
死亡者数は2000万人。これは人類のパンデミック史上最大の死亡者数となっています。
当時は第1次世界大戦の最中でしたが、その時の戦死者が1500万人。スペイン風邪は第一次世界大戦の戦死者よりも多くの死者を出したことになります。
日本では第二波(1918年初冬)で感染爆発が起こっています。収束までに人口の半分に当たる2380万人が感染し、その内39万人が死亡しています。
2.スペイン風邪の死亡者数は2000万人
3.日本では2380万人が感染し39万人が死亡
スペイン風邪収束の鍵はソーシャル・ディスタンディング
以下は当時のニューヨーク市において、ソーシャル・ディスタンディングを実施した時の感染状況をグラフ化したものです。
ニューヨーク市では感染爆発が起こる11日前からソーシャル・ディスタンディングを開始しています。
その後、感染者数が急増していますが、ピークを付けた後は急激に減少しています。
一方、こちらはセントルイスのケース。
まとめ
2020年4月10日現在、欧州各国でのコロナウイルス感染者数はピークアウトしています。現在、アメリカがホットスポットとなっており、特にニューヨークでの感染拡大も徐々にピークアウトに近づきつつあります。
株価は迅速に織り込んできており、米株三指数(NYダウ、S&P500、ナスダック)は直近安値から20%ほど回復してきています。
相場はまだ「コロナウイルスの第二波」を織り込んでいません。もちろん、このまま収束してしまう可能性もありますが、投資家は全てのリスクを想定しておく必要があります。
第二波(スペイン風邪のパターンに倣えば2020年秋ごろ)では、ウイルスの変異によってより強力な感染力を持っている可能性もあります。
頭の片隅にでも留めておくことをお勧めします。
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